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PROGRAMMER'S GUIDEバーチャルCDシステム
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バーチャルCDシステムユーザーズマニュアル

2.セットアップ編



1.VCD I/Fボードの主要機能

 VCD I/Fボード(RT-V1A)は、PC互換機本体とターゲットボックス内のCDブロック(RT-V1B)との間のコマンドとメッセージの通信、PC互換機からCDブロックへのCD-ROMデータ、CD-DAデータ等の送出を行うPC互換機用ISA拡張ボードです。

  1. CDブロックとの通信
     CDブロックからのコマンドを受け取り、その内容にしたがって定められた処理を行い、CDブロックへステータスを返します。

  2. PC互換機本体との通信
     CDブロックからのコマンドのうち、PC互換機に対して必要なコマンドを抽出して送ります。これに対してPC互換機本体は必要に応じてデータを返します。

  3. PC互換機本体からのデータ受信
     PC互換機にPLAYコマンドが送られると、PC互換機はCD-ROMデータやCD-DAデータ、あるいは必要に応じてR〜Wのサブコードデータを用意しますが、VCDI/Fボードはボード上のDMAコントローラによってこれらのデータを受け取ります。

  4. CDブロックへのデータ送出
     3.で取り込んだデータにスクランブル処理を施し、シリアルデータフォーマットに変換して送出します。


2.データ転送速度

 CD-ROMデータの転送の場合に限り、CDブロックから送られるコマンドにしたがって、標準速/2倍速の2通りの転送速度が設定されます。


3.ジャンパーピンの設定

 [重要]
VCD I/Fボードには

  1. ISA-IRQ設定(J3)

  2. ISA-DMA設定(J4)

  3. I/Oアドレス設定(J5)

  4. Diag設定(J6)

の、4つのジャンパーピンがあります。

 (J3),(J4),(J5)の3つの機能設定は、お使いになるPC互換機ですでに設定されているものと重なりますと、バーチャルCDが立ち上がらなかったりPC互換機がハングアップするなどのトラブルの原因となります。

 PC互換機のそれぞれの設定を把握のうえ、例えばSCSIボードのDMAチャネルと重なる時のように、どうしてもVCD I/Fボードの設定をデフォルトの状態から変更しなければならない時だけ、以下の設定変更を行います。この場合、さらに環境変数の値も変更する必要があります。なお、出荷時のデフォルト設定のままインストールする場合は、PC互換機立ち上げ後、特に環境変数の設定を行う必要はありません。手続きについては5.1 起動のための準備の項を参照してください。

 (1)ISA-IRQの設定(J3)
 ジャンパでショートすることによりPCに対する割り込み要求番号を選択します。デフォルトは、IRQ10に設定されています。

1-2ピン
 IRQ4(00)
3-4ピン
 IRQ3(01)
5-6ピン
 IRQ10(02)
デフォルト
7-8ピン
 IRQ11(03)
9-10ピン
 IRQ12(04)
11-12ピン
 IRQ15(05)

 (2)ISA-DMAの設定(J4)
 ジャンパでショートすることによりPCとDMA転送を行うためのDREQ,DACK信号の番号を選択します。デフォルトはDREQ5/DACK5に設定されています。

1-2ピン&3-4ピン
 DREQ5/DACK5(00)
デフォルト
5-6ピン&7-8ピン
 DREQ6/DACK6(01)
9-10ピン&11-12ピン
 DREQ7/DACK7(02)

 (3)I/Oアドレスの設定(J5)
 ジャンパでショートすることによりPC互換機から見たI/FボードのI/Oアドレスを選択します。デフォルトは340Hに設定されています。

1-2ピン&3-4ピン&5-6ピン
 340H(00)
デフォルト
3-4ピン&5-6ピン
 350H(01)
     
1-2ピン&5-6ピン
 3E0H(02)
     
5-6ピン
 300H(03)
     
1-2ピン&3-4ピン
 310H(04)
     
3-4ピン
 320H(05)
     
1-2ピン
 330H(06)
     
オープン
 370H(07)
     

 (4)Diag設定(J6)
 (J6)のDiag設定機能はボードの製造時に使用するものです。オープンのままで結構です。


4.PC互換機へのインストールと接続

 (1)ご用意頂くもの

 (2)セットアップ
 VCD I/Fカード(RT-V1A)の梱包を解き、ご用意頂いたPC互換機の拡張スロットに確実に挿入してください。

 付属のバーチャルCD I/FケーブルでVCD I/Fボードの接続コネクタと、SEGASATURNプログラミングBOXのバーチャルCD用I/Fコネクタとを接続します。プログラミングBOXとICEについては、それぞれの説明書の指示にしたがってセットアップしてください。


5.サンプルデータによる実行

 セットアップしたバーチャルCDエミュレータの動作確認を行います。
以下の説明で、入力するコマンド行の[ENTER]はキャリッジリターンキーを押すことを意味しています。また、△はスペースで区切ることを意味しています。その他[ ]で囲んだ部分はキーボード上のキーを示します。

 [手順0-a]
 VCD I/FボードをPCにインストールしてください。この時、次のジャンパー番号がどのような値になっているか確認し、メモしておいてください。

 すでにVCD I/Fボードがインストールしてある場合は[手順0-b]を行います。また、この時は、環境の設定[手順1]も必要がないかも知れません。[手順1]の説明をお読みください。

 [手順0-b]
 次に、PC互換機の電源を入れ、MS-DOSが立ち上がるのを待ちます。
 [結果] MS-DOSが立ち上がるとMS-DOSプロンプトが出ます。

 MS-DOSが立ち上がったら、次の手順に進みます。

5.1 起動のための準備

 日本語モードでは動作しませんので、DOSを英語モードにします。以下のようにコマンドを打ってください。

 [手順1]


C:¥>CHEV△US[ENTER]
    ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

 もし、日本語モードになっていた場合は、画面がフラッシュし、画面の先頭にプロンプトが来ます。

 次に環境変数VCDIOの設定を行います。
ただし、そのPC互換機で、すでにバーチャルCDエミュレータを使用している場合、この設定をMS-DOSの立上り時に自動的に行うようになっている場合があります、それまで利用していた人に確認をしてください。
また設定されているようでしたら、この手順を省いて「手順3」から行ってください。

 環境変数VCDIOの値は、3.ジャンパーピンの設定の項でも述べたように、VCD I/Fボードの設定を反映していなければなりません。
例ではVCD I/Fボードのデフォルト値を設定します。

 次のMS-DOSコマンドを打ち込んでください。

 [手順2]


C:¥>SET△VCDIO=020000[ENTER]
    ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

 VCD I/Fボードとの整合性が取れていない場合、バーチャルCDエミュレータは正常に動作しません。また、場合によってはPC互換機がハングアップすることもありますのでご注意願います。

 もしPC互換機の都合でジャンパー設定をデフォルト以外の値に設定した場合は、環境変数の値が異なります。
 例えば、割り込み番号01、DMA転送のためのチャンネル番号を02、VCD I/Fボードの入出力アドレスを03に設定した場合は次のように環境変数を設定します。


C:¥>SET△VCDIO=010203[ENTER]
    ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

 バーチャルCDエミュレータに添付されているサンプルプログラムをPC互換機にインストールします。

 ディレクトリを作成します。

 [手順3]


C:¥>MD△MYDIR[ENTER]
    ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
C:¥>CD△MYDIR[ENTER]
    ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

Disk.1のファイルをそのディレクトリにコピーします。


C:MYDIR>COPY △A:*.*[ENTER]
        ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

サンプルデータ発生ユーティリティVCDMKDATを使ってサウンドデータを作成します。


C:MYDIR>VCDMKDAT[ENTER]
        ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

以下のチェックに使用する2つのサウンドデータファイルがMYDIRディレクトリに作成されます。

5.2 起動と終了

 バーチャルCDエミュレータを起動します。以下のようにコマンドを打ってください。

 [手順4]

C:MYDIR>VCDEMU△JVC[ENTER]
        ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾

 バーチャルCDエミュレータが起動し、画面が表示されます。
画面には指定されているディスクイメージファイル、CD構成情報ファイル、スクリプトファイル、ログ情報ファイルの名前が表示されます。
なお、ログ情報ファイルが指定されていない場合、"No Log File" と表示さます。

バーチャルCDエミュレータはメッセージの確認のため、キー入力を待っています。押されたら、次に進みます。

 [手順5]

 [ENTER]または[ESC]を押します。
プログラムは実行に必要なファイルの読み込みを開始します。

正しく読み込まれると、

[結果]

===========Open New File =****.dat===============
===========All Data has been Read================
===========PAUSE2================================

の様に表示されます。

画面右上のダイアログボックスの動作モードの表示はDirectと表示されているはずです。「ダイレクトDOSファイルアクセス」という動作モードになっています。
この状態以降は、ターゲットボックスからの操作が中心になります。

 [手順6]
 ICEからセガサターンのプログラムを起動します。

 [手順7]
 セガサターンの画面に"VIRTUAL CD CHECK PRGRAM"と表示され、プログラムが正常に起動されたことを確認してください。

 [手順8]
 以下、画面に表示される指示にしたがってパッドを操作し、CD-DA再生デモが終了することを確認してください。

■終了方法

 [手順9]
 バーチャルCDが動作しているPC互換機の[SPACE]を押します。

[結果] トップバーの "Menu" が反転表示になります。

カーソルの [LEFT]、[RIGHT] で "Menu" もしくは "Help" が交互に反転表示になりますが、Menuが反転表示になっているようにします。

 [手順10]
 [ENTER] またはカーソルの [DOWN] キーを押します。

 [手順11]
 [DOWN]キーを用いて最後のメニュー項目Exitを反転表示にします。

 [手順12]
 [ENTER]キーを押します。

これで、バーチャルCDエミュレータが終了します。

5.3 サンプルデータ仕様

■ファイル構成

JVC.SCR  
サンプルスクリプト
JVC.PRM  
PRE / BUILD 起動パラメータファイル
PAT_1.DAT  
10KBYTEインクリメントデータ
PAT_10.DAT  
130KBYTEインクリンメントデータ
JVC.RTI  
PRE / BUILD 出力情報ファイル
JVC.PVD  
PRE 出力情報ファイル
JVC1.ABS  
Ver. 1.02  スモール用サンプルプログラム
JVC1.INI  
サンプル実行コマンドファイル
SYSTBL.TSK  
 
SDDRV.TSK  
サウンド初期化ファイル
NEWMAP.BIN  
 
VCDMKDAT.EXE  
2つのサウンドデータファイルを現ディレクトリに作成します。
それぞれ約1.4MByteのデータ量となります。

■チェック項目

チェック項目は

の3項目です。
CD-ROMのテストは、各項目でCOMPLETEメッセージが表示されれば正常です。
CD-DAはメッセージ通りに正弦波(約440Hz,-10dB)と矩形波(約440Hz,-10dB)の音が再生されれば正常です。

■基本操作方法

 操作はパッドのAボタンとBボタンのみで行います。Aボタンはそのテスト項目を実行します。次の項目に移る時もAボタンです。その項目を実行しない場合はBボタンを押します。Sボタンで常にオープニングに戻ります。

 [オープニング画面]
 Aボタンを押すと最初のテスト項目に移ります。

 [1.CD-ROMディレクトリーリード]
 ISO9660フォーマットのディレクトリを表示します。表示されるのはルートディレクトリの最初の8エントリー(自分と親を含むので、実質的には6エントリー)だけです。ディレクトリー属性も表示します。
規定のファイル名およびサイズの時にOKのメッセージが表示されます。
チェックが終わると最も下の行にCOMPLETEが表示されます。違っている場合と、読めない場合はエラーメッセージが表示されます。

 [2.CD-ROMデータリード]
 ABCDEFG1.DATとD10について、内容が分かっているので、データを読んでみて、比較することによりチェックを行います。終了すると最下行にCOMPLETEが表示され、Aボタン入力待ちになります。

 [3.CD-DA再生]
 トラック2、3のデータを使用して音を再生します。オートでいくつかの再生を行います。

 画面上には常にTNO,ATIME,ステータスが表示されます。
終了すると最下行にCOMPLETEが表示され、Aボタン入力待ちになります。


6.バーチャルCDとCDドライブの切り替え

 バーチャルCDとCDドライブを切り替えるために、CDブロックとCDドライブの間には、図1のような切り替えスイッチがあります。このスイッチを操作するときには、バーチャルCDとCDドライブの両方のCDトレイがオープン状態になっていなければなりません。バーチャルCDをオープン状態にするには、VCDエミュレータのメニュー選択によって行います。

 この操作を行わずに切り替えスイッチを操作しますと、ターゲットマシン上に保持してあるトラック情報とCDドライブ(VCD)との間に不整合を生じることになります。


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