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HARDWARE Manualセガサターン概要マニュアル
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■3.4 VDP2

 VDP2は、スクロール画面の表示と、全画面(スプライトを含む)のプライオリティ判断を行います。 スクロール画面の同時表示は最大5面まで拡張され、画面の上下左右、および回転移動ができます。 プライオリティ(表示優先順位)は、プログラマブルにキャラクタ毎に設定できます。

 ●システム構成
 VDP2にはVRAMが接続され、カラーRAMが内蔵されています。画像データは、CPUからSCUを介して VRAMとカラーRAMに定義されます。
 VRAMに定義されたデータは、レジスタの設定に従って読み出され、各スクロール画面の画像 データになります。 各スクロール画面の画像データとVDP1および外部画像回路から送られてきた画像データは、 レジスタの設定に従って表示優先順位が決められ、表示画像データになります。 更に、表示画像データは表示カラーデータに変換され、TVに出力します(図3.12)。

図3.12 VDP2システム構成

表3.7 VDP2システム仕様
No
項  目
仕   様
備  考
1
TV画面
・水平方向解像度
 320、352、640、704ピクセルから選択
・垂直方向解像度
 224、240、256ピクセル(ノンインタレース時)
 448、480、512ピクセル(インタレース時)
 から選択
垂直方向解像度256および512ピ
クセルは、PAL方式のみ
 
 
 
 
2
キャラクタ
・キャラクタサイズ
 1×1セル、2×2セルから選択
・キャラクタ色数
 16、256、2048、32768、1677万色から選択
ビットマップ方式も可能
 
 
 
3
ノーマルスクロール面
・最大同時表示面数 4面
・縦横の画面スクロール可能
・ラインスクロール可能
・縦セルスクロール可能
・1/4〜256倍の拡大縮小可能
・モザイク機能
 
4
回転スクロール面
・最大同時表示面数 2面
・拡大縮小回転が可能
・画面中で回転パラメータを切り替え可能
・係数テーブルによる特殊画面処理
2面表示した場合、ノーマルスク
ロール面は、表示不可能
 
 
5
ウィンドウ
・ノーマルウィンドウ 2面
・スプライトウィンドウ 1面
・ラインウィンドウ可能
 
6
プライオリティ
・各画面のプライオリティをプログラマブルに指
 定可能
・キャラクタ単位およびドット単位でのプライオ
 リティ入れ替えが可能
 
7
画面処理
・最大4画面までのカラー演算が可能
・カラー演算割合32段階
・カラーオフセット機能
・シャドウ機能
 

 ●機能
 VDP2には、スクロール画面表示を制御するスクロール機能と、表示優先順位を決めるプライオリティ機能があります。

図3.13 スクロール、プライオリティ機能

スクロール機能 ────┬─ 拡大・縮小   
            ├─ ラインスクロール
            ├─ 縦セルスクロール
            ├─ モザイク処理  
            └─ ウィンドウ   
                       
プライオリティ機能 ──┬─ カラー演算   
            ├─ カラーオフセット
            └─ シャドウ    

●スクロール画面
 スクロールには、絵を表示するためのスクロール画面と、表示を制御するウィンドウがあります。 さらにスクロール画面には、表示可能な面数を変えることができるノーマルスクロール画面と、回転表示できる回転スクロール画面があります。
 表3.8にノーマルスクロール画面、回転スクロール画面の機能、およびキャラクタ色数を示します。

表3.8 スクロール画面の機能
機能
ノーマルスクロール画面
回転スクロール画面
 画面0 
 画面1 
 画面2 
 画面3 
 画面0 
 画面1 
拡大縮小機能
1/4倍〜256倍
なし
任意の倍率で可能
回転機能
なし
あり
ラインスクロール機能
あり
あり
なし
なし
なし
縦セルスクロール機能
あり
あり
なし
なし
なし
モザイク処理機能
あり
あり(水平方向のみ)
ビットマップ表示
表示可能
表示可能
表示不可
表示不可
表示可能
表示不可
キャラクタ色数
16色
256色
2048色
32768色
1677万色
より選択
16色
256色
2048色
32768色
より選択
16色
256色
より選択
16色
256色
より選択
16色
256色
2048色
32768色
1677万色
より選択
16色
256色
2048色
32768色
1677万色
より選択

◆拡大縮小機能
 画面全体を水平方向と垂直方向に拡大縮小することができます。水平方向に縮小表示するときは、面数が減る等の制限があります。

◆ラインスクロール機能
 ライン毎に上下左右のスクロールと、水平方向の拡大縮小を行う機能で、例えばドライブゲームの道路等に距離感を持たせることができます。

◆縦スクロール機能
 水平方向のセル単位で上下のスクロールをすることができる機能で、例えば縦スクロールゲーム等に奥行きを出すことができます。

◆モザイク機能
 各スクロール画面を指定した水平方向、垂直方向に分割し、それぞれのエリアの左上のドットのカラーを、そのエリア内の全てのドットに表示します。

図3.14 モザイクパターン

◆回転機能

◆スクロール画面構成
 スクロール画面には、セル形式とビットマップ形式の2つの画面形式があります。セル形式は、従来の家庭用ゲーム機と同様のセルを並べて表示する方法で、ビットマップ形式はパソコン等と同様に、画面のドット毎に対応した絵を表示する方法です。

図3.18 ビットマップ形式のスクロール画面とデータの設定の関係
横 512ドット×縦256ドット
横 512ドット×縦512ドット
横1024ドット×縦256ドット
横1024ドット×縦512ドット
◆ウィンドウ
 ウィンドウは、領域の指定(座標指定)方法によって3種類に分類されます。

●プライオリティ機能
 スプライトとスクロール画面の表示優先順位は、3ビットのプライオリティ ナンバーによって決まります。スプライトのプライオリティナンバーは、 最大8つの値を設定することができ、そのうち1つをキャラクタ単位で指定します。

◆プライオリティの判断
 スクロール画面のプライオリティナンバーは通常面単位で指定します。 (特殊プライオリティ機能を使用すると、キャラクタ単位やドット単位で変えることができます。)

図3.20 プライオリティ機能

◆特殊プライオリティ機能  
 各スクロール画面に対応したプライオリティナンバーを、 キャラクタ単位やドット単位で変えることができます。 この機能を使ってスクロール画面中のある部分だけのプライオリティ を変えることで、1面のスクロール画面を複数面あるように見せること ができます。
◆カラー演算機能
 カラー演算機能は、複数の画面のカラーデータを加算することで、 手前の画面を通して奥の画面が透けて見えるような効果を出します。 通常はトップ画像とセカンド画像の2画面で行いますが、 拡張カラー演算機能を使用すると、最大4面まで行うことができます。

図3.21 カラー演算機能

◆ラインカラー画面の挿入
 ラインカラー画面は、指定した画面がトップ画像になっている部分 のセカンド画像として強制的に挿入し、カラー演算をさせる画面です。 そのとき、ラインカラー画面を挿入した部分において、挿入する前の セカンド画像はサード画像に、サード画像はその1つ下の画像 (フォース画像)になります。ラインカラー画面の挿入を図3.22に示します。

図3.22 ラインカラー画面の挿入

◆シャドウ機能
 シャドウ機能は、各画面上にスプライトキャラクタの形の影を 付ける機能です。

図3.23 シャドゥ機能

◆ボカシ演算機能
 ボカシ演算機能は、指定した1画面の水平方向のカラーデータ を一定の割合で加算する機能で、遠くの背景をぼかすような効果 を出すことができます。

図3.24 ボカシ演算機能

 指定画面がトップ画像またはセカンド画像になる領域に対して、 そのカラーデータの加算結果を強制的にセカンド画像にします。 このセカンド画像とトップ画像をカラー演算することで、 ボカシ演算した絵を表示することができます。
◆カラーオフセット機能
 カラーオフセット機能は、画面のカラーデータに対する オフセット値を加算(減算)して表示する機能で、フェードイン やフェードアウトなどに使用します。カラーオフセット機能を 使用するかどうかは画面ごとに指定できます。

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