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HARDWARE Manualセガサターン概要マニュアル
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■3.5 SCSP

 SCSPは、PCM(FM)音源と、サウンド専用DSPを融合させたカスタムサウンドLSIです。
オーディオ機能は高機能・高音質化を図り、更に将来の拡張性を考慮し、各種のインタフェースを用意しています。 また、演算部もシンセサイザーに迫る性能を備えており、多くの音数を発音させることができます。
DSP部も、各種音場再生および、3Dサウンド定位の特殊効果等の複数の音場を作り出すことができます。

●システム構成

 SCSPには、メインCPU、サウンドCPU、サウンドメモリ、D/Aコンバータが接続しています。 これらは本サウンドシステムにおいて、メインの処理とは独立して動作できます。
 メインCPUは、SCUを介してSCSPのサウンドメモリにサウンド(CPU、DSP)プログラムおよび、波形データを転送します。 サウンドCPUは、波形データをSCSPの内部レジスタに転送します。SCSPは、サウンドメモリの波形データおよび、 エフェクト効果を演出するために遅延データを読み込みます。 これらの音声はミキサーにより混合され、D/Aコンバータを介して音として出力されます。

図3.25 SCSPシステム構成

●システム仕様

 SCSPのシステム仕様を、表3.9に示します。

表3.9 SCSPシステム仕様
No
項目
仕   様
備   考
1
サンプリング周波数
・44.1KHz
 
2
音声合成方式
・PCM,FM方式
 
3
音声処理スロット数
・32スロット
 
4
波形データフォーマット
・8bit,16bit形式
・2'Sコンプリメント
 
5
各種機能
・エンベロープ
・ループ処理
・LFO
 
6
内蔵DSPによる効果
・リバーブ、コーラス等
 
7
その他の機能
・DMAC… 1ch
・タイマ… 3ch
・MIDI…IN/OUT 各1
・外部デジタルオーディオ入力
…ステレオ1系統
 

●機能

 SCSPの主な機能を、次に示します。

●エフェクト
 SCSPのDSPは、複数の音場を作り出すことが可能なので、BGMの音場 とゲーム自体の音場が異なるような設定を行うことができます。
例えばレースゲームを例に挙げると、BGM用にコンサート会場のリバーブ をかけ、ゲーム用にトンネル内の雰囲気を出すリバーブをかけることが 同時にできます。

図3.26 トンネルとBGMのリバーブ

 DSPには、音源からの音声信号だけでなく、CDからの音声信号が入力さ れてくるため、CDの音声にエフェクトをかけることが可能です。また、 CDの出力レベルもSCSPを介してコントロールできるので、音源部の音声信号 とCDのバランスをとることが可能なことから、CDの音に隠れて、音源部の 音が聞き取れなくなることはありません。
●音の定位
 SCSPは、高性能デジタルミキサを搭載しているため、各音の定位等を リアルタイムにコントロールすることができます。よって画面上のキャラクタ の位置に見合った定位で、効果音を出力することができます。 この処理はDSPによっても行うことができます。その場合、 より細かな定位の設定ができるため、キャラクタがゆっくり移動するような 場合にも、スムーズに音の定位を動かすことができます。 この定位をさらにリバーブを付け加えると、奥行き感(距離感)を出すこと も可能となります。

図3.27 テニスゲームにおいての使用例

 この他にも、リバーブの種類によって、室内、外、空間の広さを表現する ことが可能です。またリバーブの種類自体もホール・ステージ・ルーム ・鉄板等があり、あらゆる状態を設定することが可能となります。

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