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PROGRAMMER'S GUIDEバーチャルCDシステム
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バーチャルCDシステムユーザーズマニュアル

第1章 概 要


1.1 バーチャルCDエミュレータの概要

 バーチャルCDエミュレータはPC互換機上で動作するMS-DOSプログラムです。
PC互換機の拡張スロットに挿入されているVCD I/Fボードとの通信によって、ターゲットボックスから送られた、CDアクセス命令を受けとり、その命令に従いMS-DOSファイルへアクセスし、CDドライブへのアクセスを疑似的に実現します。

次にバーチャルCDエミュレータの主な機能を簡単に示します。

 アクセスするMS-DOSファイルの形式には次の3種類のものが可能です。

 (1) CDイメージになる前のデータファイルの集まり
 CDイメージを作成する前のデータが記録されているMS-DOSファイルです。(以後、単に「データファイル」と呼びます。)
バーチャルCDエミュレータがVCD I/Fボードから受けとったCDアクセス命令のアクセス位置に応じてデータファイルを決定し、CDイメージになるように編集し、VCD I/Fボードに送ります。
結果として、ターゲットボックスはCDドライブから入力したものと同じ形でデータを受けとることができます。この場合のエミュレーションを「ダイレクトDOSファイルアクセス」と呼びます。
この場合は、CDイメージを作成するためのデータが揃えば、簡単な前処理だけでエミュレーションを開始できますが、編集しながらデータを送りますので、本来のCDドライブからの入力と同じタイミングで再生はできません。したがって複雑なディスクアクセスを要求されるチャネルインターリーブ機能この動作モードではサポートできません。また、同様にMPEG機能もサポートできません。

 (2) CDイメージがそのままはいっているファイル
 CDには各種のフォーマット規格があり、その規格に従った形と長さで、データが編集され書き込まれているファイルを「CDイメージファイル」と呼びます。バーチャルCDエミュレータはこの「CDイメージファイル」をそのままI/Fボードに送り込みます。それには、いったんCDイメージを作成する作業が、エミュレーションを開始する前に必要です。
この場合を「リアルタイムエミュレーション」と呼びます。
この動作モードではチャネルインターリーブのような複雑なセクタ配置をエミュレーション開始前に実行するので、前項の「ダイレクトDOSファイルアクセス」のような機能上の制限はありません。

 (3) CDイメージとその一部修正のためのデータファイル
 データファイルをひとつだけ修正し、その修正データファイルを再生し、他の部分はCDイメージファイルを用いて再生テストを行うエミュレーションです。この場合のエミュレーションを「CDイメージ部分更新」と呼びます。

これらのどのエミュレーションを実行するかは、バーチャルCDエミュレータ起動時にファイルの有無、およびバーチャルCDエミュレータ起動のコマンド行のパラメータによって、バーチャルCDエミュレータが判断します。
ファイルの有無の識別にはファイルの拡張子を用い、そのボディ部分はバーチャルCDエミュレータ起動のコマンド行のパラメータで指定することになっています。

CDエミュレーションを行うには、バーチャルCDエミュレータプログラムやCDイメージを作成する前処理プログラム等が必要になります。

1.2 作業のおおまかな流れ

 ここでは、バーチャルCDエミュレータを使用してエミュレーション作業を行う大まかな手順を説明します。
バーチャルCDエミュレータを起動する前に、VCD I/Fボード編を読み、ケーブルの接続を行ってください。VCD I/Fボード編に記述されている用語を本書でも使用しますが、すでに理解されているとして、ここでは特に説明をしていません。
また、VCD I/Fボードの次の設定事項が、バーチャルCDエミュレータを動作させるために必要となります。

図-2. 作業の大まかな流れ

 作業の大まかな流れを図-2に示し、以下に図の説明を述べます。次章において、もっと具体的に例を用いて作業を行っていきます。

 (1) 環境設定
 VCDIOという環境変数にVCD I/Fボードの設定事項を代入しておく作業です。
バーチャルCDエミュレータープログラムとVCD I/Fボード上の設定と整合性を持たせる必要があります。必要な設定事項とはVCD I/Fボードの3個のジャンパーの番号です。これらの値に食い違いがあると、バーチャルCDエミュレータは、VCD I/Fボードとのやりとりができなくなります。この設定は、ボードをPC互換機にインストールした時に決まりますので、この時にAUTOEXEC.BATで環境変数に値を代入するようにしておけば、PC互換機の電源を投入するたびに、自動的にこの環境設定が行われることになります。

 (2) 素材・プログラムなどの作成
 CDに配置する画像データやプログラムをMS-DOSファイルの形で用意してください。

 (3) CD配置情報記述
 素材・プログラムなどのMS-DOSファイルをCD上にどのように配置するかを指定します。
CDの構成を記述する形式が決められおり、テキストエディタを使いこの形式にしたがい入力します。このファイルを「スクリプトファイル」と呼び、そのファイル内容を「スクリプト」と呼びます。
このスクリプトファイルを作ることが、CD配置情報を記述することになります。このスクリプトファイルの作成方法はCDビルダユーザーズマニュアルで説明します。

 (4) CD構成情報ファイルの作成
 「ダイレクトDOSファイルアクセス」を行う場合にCD構成情報ファイルを作成します。
CD構成情報ファイルは個々のMS-DOSファイルとCDのアクセス位置(分、秒、フレームの値)との対応関係を示します。
CDビルダXBLD.EXEをダイレクトDOSファイルアクセス用に起動し、CD構成情報ファイルを作成します。

 (5) CDイメージファイルの作成
 「リアルタイムエミュレーション」を行う場合にCDイメージファイルを作成します。
CDビルダXBLD.EXEをリアルタイムエミュレーション用に起動し、CDイメージファイルを作成します。

 (6) バーチャルCDエミュレータの起動
 前項の(4)または(5)の作業を経た後、バーチャルCDエミュレータを起動します。
(4)または(5)のどちらを起動したかは、作成されたファイルの存在によって、どのようなモードのエミュレーションを行うかが分かるようになっています。
バーチャルCDエミュレータを起動した後は、ターゲットボックス側での操作が中心となります。バーチャルCDエミュレータでは、再生状態またはメッセージをチェックするだけです。

 (7) 修正作業
 エミュレーションの結果、素材・プログラム等に修正が必要になった場合、それぞれの作成ツールを用いて修正します。
「ダイレクトDOSファイルアクセス」の場合は、(4)の作業を再度行います(修正後のファイルサイズが同じであれば(4)の作業を行う必要はありません)。
「リアルタイムエミュレーション」の場合は、(5)の作業を再度行います。

 (8) CDイメージ部分更新
 VCDUTL.EXEを使いCDイメージの部分更新を行います。
CDイメージ部分更新には、CDイメージファイルを直接書き換えるモードと、CDイメージ更新情報を使ってリアルタイムエミュレーションを行うモードがあります。


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