基本事項

2.1　用語と記号

　(1)用語の定義

　使用する用語の定義を表2.1に示します。

表2.1　用語の定義

用　語	意　味
セクタ	CDブロックで扱う基本的なデータの単位。（2352バイト固定） セクタのサイズや構造は、CD-ROMの形式に従います。
ストリーム	セクタのヘッダとサブヘッダで区別される、論理的に連続したデータの流れ。
CDバッファ	セクタデータを格納するCDブロック内のバッファ。
CDバッファサイズ	CDバッファのセクタ単位の大きさ。
バッファ区画	CDバッファを複数の論理的な区画に区分けしたもの。 ストリームの格納・取り出しをする論理的な素子とみなすことができます。
バッファ区画サイズ	バッファ区画のセクタ単位の大きさ。
セクタ位置	バッファ区画内のセクタの位置。（セクタ単位の位置） 0〜（バッファ区画サイズ−1）の値を取ります。 バッファ区画のセクタは、セクタ位置をキーにしてアクセスします。
絞り	設定した条件によって、ストリームを分離する論理的な素子。
セレクタ	絞りとバッファ区画から構成され、ストリームを選択する論理的な素子。 セレクタによりストリーム選択回路を構築できます。
デバイス	CD-ROMやMPEGなど、ストリームを発生・吸収する論理的な装置。上記回路 にデバイスを接続することで、ストリーム選択処理が可能。
コネクタ	絞り、バッファ区画、デバイスを接続するための端子。
フレームアドレス（FAD）	CD上の絶対時間00:00:00を0として、フレーム単位に連続的に番号を付けたもの。 絶対時間と1対1に対応します。 CDブロックに対しては、絶対時間ではなく、フレームアドレスをキーとしてア クセスします。（CD-ROM、CD-DAとも）
論理セクタ番号（LSN）	CD上の絶対時間00:02:00を0として、セクタ（フレーム）単位に連続的に番号を 付けたもの。論理セクタ番号＝フレームアドレス−150（2秒分）となります。 ディレクトリレコード（ISO9660）内の情報に使われています。
ファイル情報	ファイルをアクセスするために保持している、ディレクトリレコード情報。 ファイル先頭のFAD、ファイルサイズ、ユニットサイズ、ギャップサイズ、 ファイル番号、アトリビュートがあります。
ファイル識別子	ファイルを識別するためのディレクトリ内の順序番号。 0〜（ディレクトリレコード数−1）の値を取る。 ただし、0:自分のディレクトリ、1:親ディレクトリを示します。

　(2)記号・略号の一覧

表2.2　記号・略号の一覧

記号・略号	意　　味	説　明
Adr	address	アドレス
BCD	binary coded decimal	2進化10進数
bn,bufno	buffer no.	バッファ区画番号
bufnum	buffer numbers	全バッファ区画数
CI	coding information	コーディング情報
CN	channel no.	チャンネル番号
Ctrl	control	コントロール
dst	destination	複写／移動先
fad	frame address	フレームアドレス
fasnum	fad sector numbers	フレームアドレスセクタ数
fid	file identifier	ファイル識別子
fln,filtno	filter no.	絞り番号
FN	file no.	ファイル番号
LSB	least significant bit	最下位ビット
MSB	most significant bit	最上位ビット
ply	play parameter	再生パラメータ
pos	position parameter	位置パラメータ
SM	submode	サブモード
sct	sector	セクタ
ses	session information	セッション情報
sesno	session no.	セッション番号
snum	sector numbers	セクタ数（区画のセクタ範囲指定時）
sp,spos	sector position	セクタ位置（区画のセクタ範囲指定時）
src	source	複写／移動先
stat	CD status information	CDステータス情報
subh	subheader condition	絞りに対するサブヘッダ条件
TNO	track no.	トラック番号（曲番）
toc	TOC information	TOC情報
txwnum	transfer word numbers	転送ワード数（ワード単位のデータ転送サイズ）
X,idx	index	インデックス番号
word	word	ワード。2バイト（16ビット）の長さの単位。

　(3)数値の表記

　2進数は末尾に「B」を付ける。(例：10進数の5は、101Bと表記します。)
　16進数は末尾に「H」を付ける。(例：10進数の255は、FFHと表記します。)
　ただしC言語プログラム中の16進数は、C言語の仕様(0x)で表記します。

　(4)BCDの扱い

　パラメータ等には、原則としてBCDを使いません。トラック番号などCD上にBCDで記録されている数値も、全てバイナリ値に変換してやり取りします。

　(5)C言語の識別子

　CD通信インタフェースでは、CDまたはCdで始まる識別子を使用します。アプリケーションは、これらの識別子とぶつからないように注意が必要です。

2.2 ディスクレイアウト

　(1)トラックレイアウト

　トラックの構造と、ディスク上の位置を指定するアクセスキーの関係を図2.1に示します。

図2.1　トラックの構造とアクセスキーの関係

　(2)マルチセッションのレイアウト

図2.2　マルチセッションのレイアウト