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3.CD-ROMの焼き方


 この章では、ユーザが作成したゲームをCD-ROMに焼き付ける方法について説明します。

3-1. 作業の流れ

 CD-ROMはPC DOS英語モード環境で作成します。そのため、ファイル名はDOSの制約を受け、8文字+3文字以内になります。

 ユーザーが作成したゲームをCD-ROMに焼き込むためには、バイナリ形式のIP、プログラム、データを用意する必要があります。

 CD-ROM作成の基本的な流れを図3-1に、CD-ROM作成時に必要となるファイルを図3-2に示します。

図3-1 CD-ROM作成の流れ


図3-2 CD-ROM作成の流れとファイル

3-2. IPの作成

IPとは>

 IPは、CD-ROMディスクのシステムエリアに書き込まれるものであり、アプリケーションがサターンのブートシステムを使用する際に使用されます。IPは全てのCD-ROMプログラムディスクに必要です。
(データディスクには必要ありません)。
IPの詳細は、“プログラマーズガイドのDISCフォーマット規格、ブートシステム”に詳細が記載されています。

IPの構成

 IPはブートコードとアプリケーションイニシャルプログラムから構成されています。
ブートコードはゲーム名等のIDコード、セガから供給されるセキュリティコードとエリアコードから構成されます。
アプリケーションイニシャルプログラムはエリアコードのすぐ後ろに配置され、エリアコードの実行後ただちに実行されます。以後、アプリケーションの制御下でプログラムが進行します。

表3-1 IPの構成

構 造サイズ備 考
IP
Boot Code
System ID
100H
ゲーム名、商品番号、バージョン等
Security Code
D00H
セキュリティコード
Area Code
20H〜100H
エリアコード
Aplication Initial
Program
20H〜71E0H
イニシャルプログラムやファイルシステム等

 IPの詳しい作成方法は、 “プログラマーズガイドのブートシステム” を参照してください。

3-3. ビルド

 ユーザーが用意したバイナリ形式の全てのファイル(IP、プログラム、データ等)をCD-ROMに焼くために行う前処理を、ビルドといいます。ビルドにより、CD-ROMを焼くために必要なTOC情報ファイルとディスクイメージファイルが作成されます。
ビルドは次の手順で実行します。

 1) CD-ROMに焼きたいファイルの用意
 CD-ROMに書き込むすべてのファイルを、PCのディスク上に用意します。ファイル位置はスクリプトファイル中で指定するので、どこでもかまいません。ファイル名は8文字、拡張子3文字の12文字(ピリオド含む)以内とします。 CDDAファイルはインテル形式(リトルエンディアン)で並んでいる必要があります。モトローラ形式(ビッグエンディアン)の場合はバイトスワップを行ってください。(DOS用のバイトスワッププログラムとしては、“SWAP.EXE”があります。)

 2) ワークエリアの確保
 CD-ROMのディスクイメージを生成するワークエリアを用意します。総ファイル容量と同容量以上必要です。この後のファイルの作成や実行は、すべてこのエリアで行ってください。(カレントディレクトリを移動します。)

 3) プロジェクト名の決定
 MS-DOSのファイル名のボディとして使用するので、8文字以内としてください。
ここでは例として、“sample”とします。

 4) スクリプトファイルの作成
 サンプルプログラム1(リスト3-1)を参考にしながら、適当なエディタを用いてスクリプトファイルを作成してください。ファイル名は、プロジェクト名に拡張子“scr”を付けたものにします。
ここでは、“sample.scr”となります。
スクリプトファイルを作成するディレクトリは、ディスク構成情報ファイルとディスクイメージファイルを生成するための“VCDBUILD”コマンドを実行するディレクトリとしてください。

 5) ディスク構成情報ファイルとディスクイメージファイルの生成
 前処理プログラム“vcdbuild.exe”を起動します。
パラメータは、ここでは、“vcdbuild sample”となります。
この結果、ディスク構成情報ファイルとディスクイメージファイルが生成されます。
ここでは“sample.rti”“sample.dsk”が生成されます。

 6) TOCファイルの生成
 TOCファイルジェネレートプログラム“vcdmktoc.exe”を起動します。パラメータとして、RTIファイルのボディ部(プロジェクト名)を与えます。
ここでは“vcdmktoc samle”となります。
この結果、TOCファイルが生成されます。
ここでは、“sample.toc”が生成されます。

リスト3-1 サンプルプログラム1(スクリプトファイル“sample.scr”の作成)

Disc  sample.dsk
     Session CDROM
            LeadIn MODE1
            EndLeadIn
            SystemArea e:¥ip.bin

            Track MODE1
                  Volume ISO9660 sample.pvd  ボリューム記述子集合の、指定部分です。
                         PrimaryVolume 0:2:16   太字部分は出力される、基本ボリューム
                         EndPrimaryVolume        記述子です。
                   EndVolume

                   File ASAMPLE.BIN
                        FileSource e:¥mode1¥asample.bin   この4行で、1ファイル分です。
                        EndFileSource
                   EndFile
                   File ASAMPLE1.BIN
                        FileSource e:¥mode1¥asample1.bin
                        EndFileSource
                   EndFile
                   File ASAMPLE2.BIN
                        FileSource e:¥mode1¥asample2.bin
                        EndFileSource
                   EndFile

                       ............   ファイルが続く場合は、同様に追加します。

                   PostGap 150          EndTrack

            Track CDDA                          この5行で、CDDA1曲分となります。
                   Pause 150
                   FileSource e:¥cdda¥samp_cd1.dat
                   EndFileSource
            EndTrack
            Track CDDA
                   Pause 150
                   FileSource e:¥cdda¥samp_cd2.dat
                   EndFileSource
            EndTrack
            Track CDDA
                   Pause 150
                   FileSource e:¥cdda¥samp_cd2.dat
                   EndFileSource
            EndTrack

                       ............   曲が続く場合は、同様に追加します。

            LeadOut CDDA      CDDAを入れない指定はできなせん。
                   Empty 500
            EndLeadOut
     EndSession
EndDisc

3-4. CD-ROMの焼き付け

 CD-ROMをCDライターに入れ、CDライターコマンドを次のように入力して起動します。

“segacdw.exe”

 設定するパラメータは以下の通りです。

    segacdw [-s #] [-i #] [-t] プロジェクト名

   -s  … 書き込み速度を指定します。
       1(等速)、2(倍速)、4(4倍速)のいずれかを指定します。
       デフォルトは4倍速です。
   -i …   CDライターのSCSI ID番号を指定します。
       デフォルトは5です。
   -t   … テストモードでは、書き込みテストを行います。
       (実際のCD-ROMには書き込まれません。)

 例えばパラメータ設定は、

“segacdw -s 2 sample”

 となります。この場合は、SCSI ID 5番のCDライターに、プロジェクト名“sample”が倍速で書き込まれます。
実際の書き込みは一旦テストモードで実行し、エラーがなければ実際に書き込むという手順を踏むことをお勧めします。
テストモードを実行する場合は、この例では、

segacdw -s 2 -t sample

 となります。


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